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3月 01 2022

証券取引裁判の続報

小職が獲得した野村証券に対する名古屋高裁逆転勝訴判決について、2月25日付け日本経済新聞夕刊と翌26日付け毎日新聞朝刊でも報道されました。

この判決は、一昨年12月に名古屋地裁岡崎支部が請求を棄却した判決について、名古屋高裁が原判決を変更し、野村証券従業員の株式や外国債券等の現物取引の勧誘の違法性を認めて、野村証券に対し投資家への賠償責任を認めたものです。

この高裁判決は、説明義務違反ないし情報提供義務違反、及び、実質的一任売買の違法性を認めています。

これら違法性についての名古屋高裁の判示は、今後の証券裁判実務にも参考になるところが少なくないと思いますので、説明義務違反ないし情報提供義務違反についての判示を一部抜粋して紹介させていただきます。

「被控訴人Aとしては、亡Xに対し、自らが提案する個々の取引に関して、亡Xが自律的に判断ができるように、提案する個々の取引についてのリスクやデメリット、個々の取引の損益状況、取引全体の損益状況について情報を提供する信義則上の義務があったにもかかわらず、被控訴人Aは、認定事実⑸及び⑹のとおり、亡Xに取引を勧めるに当たり、当該取引のリスクを含めたデメリットについてはほとんど説明せず、利率が高い、利益を狙える、人気があって早く購入しないと売り切れてしまう(ドイツ復興開発銀行ブラジルレアル建債券)などと取引を行うメリットのみを強調し、アジア開発銀行トルコリラ建債券の買い付けの勧誘の際には満期償還時には元本が保証されるかのような誤解を招く説明をし、周知性の低い外国株式や新興市場株式についても、発行元企業の内容や業績について簡単な説明をするにとどまり、しかも、保有している商品の売却を勧めるに当たって手数料を控除しない売買損益額を告げ、中には虚偽の事実を述べて乗換売買を勧誘し、取引全体の損益についても、あたかも多額の含み損を回復することができたかのような虚偽ないし誤解を招く説明をしていたのであるから、被控訴人Aには説明義務違反ないし情報提供義務違反があり、その程度は社会的相当性を逸脱するものといえるから、本件各取引の勧誘行為についてはその全体として不法行為法上違法というべきである。」

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