6月 22 2008
名古屋と東京
私は、大学から大学院に進学し司法修習を終えるまで、通算すると約10年間、東京に住んでいました。
そのため、弁護士登録をどこでするかについて、東京、名古屋、岐阜の3か所で迷いました。(現在、司法修習生の方で、同じような悩みに遭遇している方もいらっしゃるかと思います。)
私は、結局、司法修習が名古屋だったことに加え、その他いろいろ考慮した上で、名古屋で登録しました。
いま振り返ると、名古屋を選んだのは、自分としては正しい選択だったと思っています。
誰しも、自分に向いている場所、環境、仕事というのがあると思います。
東京の事務所に就職した知り合いの3割以上が、既に転職を経験していることからも、東京では独立を目指すというより、自分の能力を既存の事務所や企業組織に売り込んで、自分を出来るだけ高く買ってもらうという発想のような気がします。(独立は、余程のことがない限り、経済的にも厳しいようです。)
そういう意味では、企業への就職により類似しているといえるでしょう。実際、東京の知り合いで3度も事務所を変わった同期弁護士が複数います。
もともと私は、自分がサラリーマンに向いていないと思ったのが一つのきっかけで、弁護士を目指しましたので、東京の特に大手ローファームのような大組織はきっと居心地が悪い気がします。
また、名古屋は、東京と比較して、ワーク・ライフ・バランスが程良くとれる生活環境にも恵まれていると思います。これは、事務所と自宅が徒歩圏内ということからも、了解いただけるのではないでしょうか。
たしかに、名古屋は東京と比べて、閉鎖的な土地柄であって刺激が乏しいという意見もあるかもしれません。
私は、これは一面的な見方にすぎないと思いますが、あえて欲を言えば、もっと名古屋からも外部へ情報や文化を発信するとともに、外部の人や文化を受け入れる努力をすることも必要ではあるでしょう。
もっとも、昨今は、愛知万博の開催やセントレアの開港、トヨタ海外部隊の名古屋ビル移転、名古屋駅前の再開発ラッシュなど、明るい話題はたくさんあります。とくにセントレアまでは、自宅からドアツードアで40分であり、海外アクセスは非常に良いと言えると思いますので、この利を大いに生かすべきと考えます。
とりとめのない話になってしまいましたが、これは、決して名古屋がよいか東京がよいかというような、場所的な問題にとどまるものではないと思います。
結局のところ、自分がどんな弁護士になりたいか、何をもって豊かさと考えるかというような、自分の仕事観や人生観、すなわち自己の価値観によるところが大きいのだと思います。




