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パワーハラスメントについて

パワーハラスメントについて

 パワーハラスメント(通称「パワハラ」)とは、上司が、部下に対し、業務命令を口実にするなど職務上の権限を濫用して、肉体的または精神的な苦痛を与える嫌がらせを行うことをいいます。 
 一般的に上司が部下のミスを叱責することなどは、程度の差はあれ、どのような会社でも日常的に行われていることと思われます。しかし、上司によるパワハラの結果として、部下がうつ病に罹患したり、自殺に追い込まれたりするといったケースもみられ、現在、この問題が大きな社会的関心を集めるに至っています。

 パワハラが違法となるか否かについては、以下の3点を中心にして、総合的に判断されます。
 すなわち、①当該業務命令等が業務上の必要性に基づいてなされたものか、②当該業務命令等を行った上司に、社会的にみて不当な動機・目的が認められるか、③当該業務命令等によって部下が被る不利益が、通常甘受するべき程度を著しく超えているか、です。
 この点、部下のミスに対し、上司が注意や叱責を加えることは、会社の業務遂行上必要な程度で認められます。
よって、結局、上司の行為が部下の人格権を侵害するか否か、すなわち社会的に相当と認められる限度を逸脱した行為であるか否かの判断となり、要は、程度問題であるといわざるをえません。
 例えば、何ら理由なく、執拗に暴言・罵声を浴びせかけたり、無意味な作業を長期間命じたりする等の行為については、優にパワハラに該当するでしょう。

 会社が法的責任を負う場合には、パワハラを受けた被害者に対し、使用者責任を負う場合と、職場環境調整義務等の注意義務違反を理由として契約上の責任を負う場合があります。
 まず、使用者責任については、当該パワハラ行為が、会社の「事業の執行について」行われたと認められれば、使用者は民法715条に基づき、被害者に対して、不法行為に基づく損害賠償責任を負うことになります。これは、当該パワハラ行為が、たとえ使用者の意思とは無関係に、一従業員によって行われた行為であっても、仕事と関連して行われたものであれば、会社が責任を負わなければならないものです。
 次に、使用者は、労働者が労務遂行に関連してその人格権を侵されたり心身の健康を損なわれたりしないように配慮すべき注意義務を負っているといえます。これは、使用者が労働者に対し、その労働契約に付随して負うとされる職場環境調整義務等です。よって、会社がこの義務を怠ったと認められるときには、会社は被害者に対し、債務不履行に基づく損害賠償責任を負わなければなりません。

 万一、パワハラが発生した場合には、会社としては、以下のように対応すべきです。
 すなわち、第一に事実関係を調査・確認し、現に行われていれば直ちに中止させる等の適切な措置を取ること、場合によっては関係者に対し懲戒処分や人事異動等を行うこと、何よりも被害者の心身のケアを行うこと、再発防止策を講ずること、等が挙げられます。 
 まずは、日頃から、会社内において、パワハラを許さない良好な職場環境を維持・調整しておくことが必要であるといえます。

 

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