任意整理とは
弁護士が依頼者の代理人として、各貸金業者と交渉し、借金の減額をはかった上で、分割払いの和解を成立させます。分割払いは、依頼者が毎月、無理なく返済できる金額におさまるようにします。 |
任意整理の流れ
(1) 弁護士介入通知
弁護士は、依頼者からご依頼を受けるとすぐ、その翌日には、各貸金業者に対し、「○○氏の債務整理は当職が受任いたしました。つきましては、本人に対する直接の取り立てを一切中止してください。また、これまでの全取引履歴を至急開示してください。」という内容の通知書を送付します。
これにより、貸金業者は取立て行為を行うことが禁止されます。
万一、行き違いで貸金業者から連絡があった場合には、「すべて弁護士に任しています。」と言って、弁護士宛に連絡するように指示してください。
(2) 取引履歴の開示
弁護士介入通知により、大抵の貸金業者は借り主との全取引履歴を開示してきますが、全取引履歴でなく、一部しか開示してこないような貸金業者もいます。
このような場合でも、全部の取引履歴を早急に開示するよう粘り強く請求します。
理由は、取引期間が長ければ長い程、借金が減額でき、場合によっては過払い金が発生している可能性が高いからです。そのため、まず依頼者の方には、最初の取引がいつ行われたかにつき、正確に伝えて頂くことが必要となります。
(3) 利息制限法に基づく引き直し計算
大抵の貸金業者は利息制限法で定める上限金利を超えて利息を取っていますので、法定の上限金利に基づき引き直しの計算を行います。
この計算をすると、借入期間が長いほど、貸金業者は利息を取り過ぎていることになりますから、超過分の利息を元金に充当する結果、元金が大幅に減ることがあります。
その結果、残元金がなくなり、貸金業者に返し過ぎたお金、すなわち過払い金が発生することも多々あります。通常、5年以上取引を継続し、その間返済を続けてきた場合であれば、過払い金が発生していることが多いといえます。
(4) 和解案の提示及び交渉
利息制限法に基づく引き直し計算の結果、借金額は減額でき、残債務額が確定します。そこで、弁護士が、この残債務額を前提として、分割払いの和解をするよう、貸金業者に対して和解案の提示をします。
その際、将来利息及び遅延損害金はカットする旨の内容にします。そして、ご本人が毎月いくらずつなら無理なく返済できるかを確認し、その金額の範囲内で分割払いに応じるよう、貸金業者に申し入れます。
ただ、貸金大抵の業者は、3年以内の分割払いを要求してきます。しかし、これがどうしても困難であれば、5年程度の分割払いの合意をすることは十分可能です。なお、上記引き直し計算の結果、過払い金が発生していれば、貸金業者に対し、直ちに全額返還するよう請求します。
(5) 和解成立
弁護士は、貸金業者が和解に応じるよう粘り強く交渉します。スムーズに行けば和解案提示から数日で和解が成立します。
貸金業者によっては返済期間を短くするよう要求するなどの強硬な態度に終始することもあります。しかし、弁護士は、ご本人が毎月無理なく返済できる範囲内で和解を成立させるよう、貸金業者を説得します。
(6) 分割返済開始
和解成立後、通常はその約一ヶ月後から返済開始となります。貸金業者が指定する銀行口座に毎月一定金額を振り込む方法により返済していくことになります。
任意整理に関する法律相談については、無料です。弁護士が、あなたのご希望を出来る限りお聞きしながら、無理のない解決方法をご提案していきます。まずは、一人で苦しまず、お気軽に弁護士までご相談ください。
Q&A
1 任意整理をすれば、消費者金融の取り立ては止まりますか?
弁護士は、依頼者から任意整理の依頼を受けるとすぐに、消費者金融等に対し、弁護士介入通知(受任通知)を発送します。この弁護士介入通知によって、消費者金融は、借り主本人に対し直接借金の取り立てをすることは出来なくなります。借り主本人に対し、自宅や職場に取り立てに行くことは勿論のこと、取り立ての電話をすることも禁止されます。その結果、借り主は、消費者金融による取り立ての不安から解放され、平穏な生活を送ることが可能となります。
2 任意整理のメリットは何ですか?
まず、利息制限法に基づく引き直し計算をすることで借金が減額できることです。また、将来利息がつかないようにしますので、毎月、返済するたびに、借金残金が目に見えて減っていくのが確認できます。さらに、債権者を選別して交渉でき、柔軟な対処が可能である点が挙げられます。例えば、友人や勤務先など、どうしても返済していきたいという債権者に対しては、任意整理から除外して、それまで通り返済していくことができます。この点、自己破産や個人再生においては、債権者全員に対し例外なく弁護士介入通知を送付し、債務整理の手続きをしなければなりません。加えて、自己破産では、自宅など不動産の資産は手放さなければなりませんが、任意整理では自宅を残すことが出来ます。
3 任意整理のデメリットは何ですか?
貸金業者が加盟している信用情報(いわゆるブラックリスト)に登録されますので、おおよそ5~7年程度は新規の借り入れをすることできなくなります。ただ、ブラックリストに登録されるのは、自己破産でも個人再生でも同じですので、任意整理特有のデメリットとはいえません。
4 任意整理をすると、勤務先や家族に知られてしまいますか?
弁護士介入通知は指定された貸金業者に対してしか発送しませんし、貸金業者との交渉は全て弁護士が行いますので、基本的には勤務先や家族に知られることはありません。また、ご家族に秘密の方に対しては、郵便物に茶封筒を使用するなど、弁護士に依頼していることが判明しないよう配慮いたします。
5 任意整理と自己破産や個人再生との違いは何ですか?
自己破産や個人再生では裁判所における手続きが必要となりますが、任意整理はあくまで貸金業者との任意の交渉であるため、裁判所での手続きを介しません。よって、上記のように一部の債権者を除外して整理できるなど柔軟な解決が可能です。
6 グレーゾーン金利とは何ですか?
利息の上限を定めた法律として、利息制限法と出資法があります。このうち、利息制限法では、10万円未満の借入では20%、10万円~100万円未満の借入では18%、100万円以上の借入では15%という利息の上限を定めています。他方、出資法では29.2%を超える利息について刑事罰の対象となることが定められています。そのため、民事上無効の利息をとっても、29.2%を超えなければ刑事罰の対象とはならないため、多くの消費者金融は29.2%ぎりぎりの利息を取っているのが実情です。この民事上と刑事上の利息の差異について、グレーゾーン金利と言われているのです。ただし、2006年12月の貸金業規制法の改正により、2010年までにグレーゾーン金利は撤廃され、利息制限法が定める上限利息に一本化される予定です。
7 債務の一本化と任意整理は、どちらが有利ですか?
一概には言えませんが、任意整理の方が有利です。「おまとめローン」等の債務の一本化をする場合、いくら低金利であるとは言っても将来利息がつきますが、任意整理では将来利息はつきません。また、債務の一本化に際しては、連帯保証人を立てなければならなかったり、公正証書を作成しなければならなかったりと、結局は、貸金業者にとって相当有利な契約を結ばされることが多いのです。さらに、一本化により完済する貸金業者に対し、本来支払義務がない違法金利まで支払わなければらないという弊害もあります。
8 任意整理はどのくらいの期間で返済するのですか?
原則として3年程度ですが、毎月の原資を考慮して、5年程度までは支払い期間を延ばすことは十分可能です。債権者が多く残債務が多額に上る場合には、7~8年程度まで支払い期間を延ばすよう交渉することも可能です。いずれにしても、依頼者の方が毎月無理なく返済できるような和解をしなければ意味がないので、支払い期間については事前に十分協議いたします。
9 友人には今まで通り返済していきたいのですが、可能ですか?
可能です。任意整理では、一部の債権者を除外して、その債権者に対しては今まで通り支払いを継続していくという柔軟な解決が可能です。これは、住宅ローンや自動車ローンを支払っていきたい場合にも、同様に当てはまります。
10 過払い金とは?返還してもらう方法は?
多くの貸金業者は利息制限法で定められた上限金利を超える利息で貸付を行ってきましたので、この利息制限法を超える部分は払いすぎた利息ということになります。この払いすぎた利息を順次元金に充当していくと、最終的には元金が消滅し、その後は払いすぎたお金だけが残ることになります。これを一般に過払い金といい、当然、貸金業者から返還してもらう権利があります。
過払い金を返還してもらう方法としては、まずは任意の交渉を試みます。貸金業者が全額返還することに応じれば和解をします。しかし、一部しか返還しない等と主張して返還を拒む貸金業者に対しては、訴訟を提起して回収することになります。なお、訴訟を提起すれば、第1回期日前に、貸金業者の方から和解を申し出てくることが多いのも事実です。ただし、今後は、全国的な過払い請求の増大等により、中小貸金業者の信用不安が見込まれますので、確実な回収のためには早期解決を図ることも重要になってくると思われます。
11 既に完済した場合でも、過払い金の返還請求はできますか?
取引継続中と同様、問題なく出来ます。ただし、時効消滅(10年)等の問題があり
ますので、早急に返還請求に着手すべきといえます。
任意整理に関する法律相談については、無料です。弁護士が、あなたのご希望を出来る限りお聞きしながら、無理のない解決方法をご提案していきます。まずは、一人で苦しまず、お気軽に弁護士までご相談ください。