トップページ >  » 強制執行

強制執行

強制執行

  「債務名義」(確定判決、和解調書、調停調書、公正証書)に基づいて債務者に支払いを求めても、債務者が任意の支払いに応じない場合、裁判所に対して強制執行を求めることができます。強制執行には、主として不動産執行、動産執行、債権執行の3種類があります。

 このうち不動産執行が最も有力であると言えるでしょうが、担保が付いていない目ぼしい不動産を債務者が有していることは少ないかもしれません。次に考えるべき選択肢は債権執行だと言えますが、債務者に多額の預金や売掛金、安定的な給与が確認できる場合は別として、実際に100%成功する確率は決して高くはないでしょう。

 結局、債務名義に従って支払ってこない債務者の場合、そもそも目ぼしい財産を保有していなかったり、すでに財産を隠匿したり処分している場合も多いのです。そうすると、債権者が苦労して判決を取っても、実際に支払ってもらえず、強制執行もうまく行かないということも少なからずあることは否定できません。かといって、最初から債権回収を諦めるわけにいきませんし、不誠実な債務者に逃げ得を許すことは到底納得がいくことではないでしょう。

 そこで第一に、債権者としては常日頃から不良債権が発生しないよう債権管理に注意すること、債務者に少しでも異変が認められれば信用調査を行い、場合によっては早期回収を試みることが大切だと思います。やむなく法的手段を取らざるを得ない段階に至っても、とくに財産的基盤の弱い債務者の場合、訴訟提起前にあらかじめ相手方の財産状況を調査し、目ぼしい不動産や預金の所在が判明した場合には、事前に債務者の財産を仮差押えしておく必要性が高いといえます。仮差押えも強制執行と同様に裁判所への申立てが必要であり、相当額の担保金も納めなければなりませんが、仮差押えしておけば、後々の強制執行の心配をすることなく、落ち着いて訴訟を行うことができるのでその効用は高いと言えます。

 仮差押えが出来なかった場合でも、債務者が不動産をどこかに隠し持っている可能性はありますから、これを探知する努力をすべきことは言うまでもありません。預金についても、有力な財産である以上、その所在探知の努力を尽くすべきですし、近時は、取扱い支店の特定をせずに全支店を支店番号順に順位付けて差押え命令が出された例(静岡地裁下田支部平成22年8月26日決定)や、差押え命令送達の日から3営業日の間に発生する預金部分について包括的差押え命令が出された例(奈良地裁平成21年3月5日決定等)も出てきており、その実効性が高まっています。また、債務者が第三者に売掛金や債権を有している場合、当該債権を差押えることができますし、取引先等の信用を失いたくないという理由から、差押え後に任意に支払ってくることもあります。電話加入権についても、債務者は当該電話番号を使えなくなることを嫌って、任意に支払ってくる可能性があります。さらに、債務者が加入している保険の解約返戻金を探知して、これを差押さえることも有望であると言えます。他方、動産執行は、それ自体で債務者に対して相当の心理的プレッシャーを与えられますし、弁護士が執行官に同伴して現場で債務者に任意に支払ってもらうよう働き掛けることもよくあり、債務者の方も条件付きでこれに応じることが少なくありません。
結局、強制執行においては、出来るだけ早急に動くこと、可能性がある限り財産探知を試みること、債務者と粘り強く交渉を続けることが大切だと思われます。 

 当職は、強制執行事件の幅広い取扱い経験を有しております。

 個別の案件につきましては、弁護士にご相談ください。

TEL:052-961-3071
 名城法律事務所 弁護士正木あて

 

無料個別相談実施中